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【短編小説】ソノヒト 〜最終章 「その人」〜

大晦日 携帯のカレンダーを見ながら 今年1年を振り返った。 どんなに新しい出会いよりも 「その人」との再会が 最も嬉しかったことに違いはない。 世の中、例のウイルスが猛威をふるい 今までにない経験の真っ只中に 僕たちはまだいる。 どうしたらいいのか分からない。 早く終息してほしい。 ...
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【短編小説】ソノヒト 〜第十章 「ラルフローレン」〜

最高の売上 仕事は年末に向かうにつれ 忙しさを増した。 例の接着剤も勢いが衰えることなく 飛ぶように売れていく。 それもこの12月は まだ残り数日を残して 過去最高の売り上げを記録した。 このまま行けば 年明け早々の年度末は 本当に在庫がもたないかも知れない。 梱包が追いつかないと...
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【短編小説】ソノヒト 〜番外編 「メリークリスマス」〜

12月24日 今日は12月24日。 メリークリスマス! である。 朝からかなり忙しかった。 午前中は江戸川区の現場に行き ひたすら工事をした。 つかれた。 とにかく現場までが遠い。 2時間も運転をしてやっとついた。 いわきに行くよりかは遥かに近いが 毎日、こんな感じで行き帰...
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【短編小説】ソノヒト 〜第九章 「父と母」〜

父の遺伝子 父はつい最近会社を定年退職した。 釣りが好きで 隔週くらいで海釣りに行っている。 そんな父の影響で 子どものころよく釣りに行かされたが その反動なのか 全く釣りが好きではない。 むしろ嫌いだ。 自ら進んでは絶対にやらないランキング 上位に釣りは入ると思う。 ただ...
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【短編小説】ソノヒト 〜第八章 「カロリー」〜

まじめ大学 大学に行くからには 勉強も部活も頑張ろうと思った。 親に迷惑はかけたくはなかった。 大学1年での成績は まあまあ優秀な方で その成績が認められ 2年生の学費を半分免除された。 母親は相当喜んだ。 しかし、家が貧乏だったため 3、4年の学費は全て 奨学金で賄った。 ...
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【短編小説】ソノヒト 〜第七章 「勝ち犬の遠吠え」〜

勝利の雄叫び 友達の家の前についた。 駅前の高級マンションに友達は住んでいる。 友達は例の僕が今、副業をさせてもらっている その人である。 友達の動画は今、 飛ぶ鳥を落とす勢いでチャンネル登録者も増え、 再生回数も増える続けている。 コロナが流行り出したころから 本格的に動画編集のお手伝い...
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【短編小説】ソノヒト 〜第六章 「2度目の正直」〜

道路 常磐道をひたすら走り続け 三郷スマートを降りた。 ここから僕が育った実家までは 下道で30分も掛からない。 仕事柄、普段から 道路を気にすることが多いが 埼玉とはいえ、 東京と比べると道路の整備具合がまるで違う。 埼玉を走る国道ですら都道よりも遥かに舗装はがたがたで、 ガードレ...
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【短編小説】ソノヒト 〜第五章 「ゆめ」〜

夢 翌朝6時に目が覚めた。 大体いつも同じ時間に目が覚めてしまう。 慣れないホテルだからというよりも、 家で寝ていても 夜中に何度も目が覚めるほど眠りが浅い。 朝6時という決められた時間は 単純に何度も起きるうちの一番最後の目覚めなだけである。 そして、厄介なことに目が覚める度、 「そ...
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【短編小説】ソノヒト 〜第四章 「サンドウィッチマン」〜

梱包の呼吸 梱包作業中、カッターナイフで 指を切った。 普段、そんなミスはしない。 それだけ、作業を急いでいた。 集中していると思っていた。 でも、出来ていなかった。 何かに没頭すれば 「その人」のことを考えなくて済むと思っていた。 でも、考えてしまっていた。 ブログを書いている...
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【短編小説】ソノヒト 〜第三章 「ブラックコーヒー」〜

出張の緊急性 いわき工場へは 普段の業務ではまず行くことはない。 もし、いわきに行く理由があるとすれば それは接待でのゴルフへ行くくらいだ。 それでも年に一回か二回くらいだろう。 プレー代は安いが 殆どのお客様が 東京に集中している以上、 高速道路やガソリンなどの交通費、 ましてや行...
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